くらしの法律情報
2026年11月02日 [くらしの法律情報]
遺言があれば、相続人全員による話し合いは不要になるのでしょうか?

司法書士の清水です。
遺言のご相談をしていると、よくこんな質問をいただきます。
「遺言があれば、相続人全員で話し合わなくても大丈夫なんですよね?」
今回は、「遺言があれば、相続人全員の同意は本当に不要になるのか?」という疑問についてお話しします。
「遺言があれば安心」というイメージ
遺言があると、・誰が何を相続するのかがはっきりする
・相続人同士の話し合いが減る
・手続きがスムーズに進みやすい
こうした大きなメリットがあります。
そのため、「遺言さえあれば、相続人の同意はいらない」と思われている方も多いのですが、
実は、遺言の内容や作り方によって結果は大きく変わります。
遺言があっても、同意が必要になるケース
遺言があっても、次のような場合には、相続人全員の同意や協力が必要になることがあります。たとえば、
・遺言の書き方があいまいな場合
・財産の特定が不十分な場合
・手続きのことが考えられていない内容の場合
このような遺言では、金融機関や不動産の手続きの場面で、「相続人全員の同意書を提出してください」と求められることがあるのです。
きちんと作られた遺言なら、相続人全員の同意は不要になります
一方で、遺言公正証書や、司法書士など専門家のアドバイスを受けて作成した自筆証書遺言であれば、話は変わってきます。手続きのことまで考えて作成された遺言であれば、不動産の名義変更、預貯金の解約や名義変更、相続手続き全般について、原則として相続人全員の同意は不要で進めることができます。
つまり、「遺言があるかどうか」よりも「きちんと使える遺言かどうか」が重要なのです。
違いが出るのは「書いたあと」の場面です
実務の現場では、「遺言はあるのに、手続きが止まってしまう」というケースと、「遺言のおかげで、スムーズに進む」というケースがあります。この差は、遺言を書いた時に、手続きまで想像できていたかどうかで生まれます。
公正証書遺言や、専門家の関与した自筆証書遺言は、この「その後の手続き」を前提に作られているため、相続人の負担を大きく減らすことができるのです。
あいおい事務所からのひとこと
遺言があれば、必ずしも相続人全員の話し合いが不要になるわけではありません。特に、遺言公正証書、専門家の助言を受けて作成した自筆証書遺言であれば、相続人の同意を求めずに、手続きを進められるケースがほとんどです。
大切なのは、「とりあえず書く」ことではなく、「相続の手続きまで見据えて書く」ことです。








