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くらしの法律情報
2021年08月05日 [くらしの法律情報]

配偶者に先立たれてもそのまま自宅に住み続けられるために〜配偶者居住権について〜

家
本ページをご覧のみなさま、司法書士の福井です。
本コラムでは、お客さまからご質問をいただくことの多い相続、遺言、成年後見など法律に関する話題ついて、わかりやすく解説していきます。
新聞やテレビで聞いたことはあるけど意味はよくわからない、内容がわかりにくいことが多いと思いますので、法律に親しんでいただける入門書としてご活用いただければ嬉しいです。
2020年4月施行の改正民法によって、配偶者居住権の制度が始まりました。
今回は、配偶者居住権についてできる限りわかりやすくまとめてみました。



配偶者居住権とは、相続が発生した際に、亡くなった方(被相続人)の所有不動産に同居していた配偶者がそのまま住み続けることができる権利です。
例えば、夫Aと妻B(同居)と子C(別居)が一人いるケースで、Aが死亡したとき、BがA所有の不動産に住み続ける場合、相続人であるBとCの関係が良好で、CはBがそのままその不動産に住み続けることを認めている場合には、A名義の不動産をBが相続してもCが相続しても大きな問題にはなりません。Bが不動産を相続した場合は、「所有権」を取得しますので居住権が確保されますし、Cが不動産を相続した場合でBに居住を認めるケースでは民法上の「使用借権」が成立し、Bの居住権が確保される、ということになります。
しかし、CがBの実子ではない場合、つまりBはAの再婚相手で、CはAの前妻との間の子であった場合であるなど、BとCの関係が必ずしも良好とはいえないケースにおいては、BがそのままA名義の不動産に住み続けるためには、相続によりB名義にしておかなければ安心して居住し続けることができない、と一般的に考えられます。
このとき、亡くなったAの相続財産が居住不動産(評価額2000万円)と預金2000万円であったとして、Bが不動産に住み続ける=不動産を取得することになると、相続財産の分配を平等に行う前提であれば、預金2000万円はCがすべて相続をするということになります。Bは居住権が確保されるものの預金を相続できず、以後の生活に窮してしまう可能性があります。このように配偶者が居住権を確保したものの金融資産を相続できなくなってしまうことのないようにバランスをとるために設けられた制度が配偶者居住権制度ということになります。
つまり、上記の例で不動産に配偶者居住権を設定し、不動産の価値のうち配偶者居住権が1000万円であったとすると、Bは配偶者居住権と預金1000万円、Cは配偶者居住権のついた不動産(1000万円)と預金1000万円をそれぞれ取得することで、バランスが取れた相続が実現する、ということになります。


配偶者居住権は、上記の例でいうとBとCの合意つまりAの相続についての遺産分割協議で設定することが想定されます。そのほか民法ではAが遺言でBに配偶者居住権を認めることもできるとされています。また、BとCが対立関係にある場合には、家庭裁判所での遺産分割調停や遺産分割審判で認められることもありえます。
これらの遺産分割で設定することとした配偶者居住権は、不動産登記によりその権利が確保されることとなります。登記された配偶者居住権は、特に期間を決めない限りは、配偶者が死亡するまで認められます。
上記の例でいうと、配偶者居住権を取得したBは死亡するまで居住権に基づき不動産に住み続けることが出来、Bが死亡した場合には、Cが配偶者居住権の登記を抹消し、完全な不動産の所有権を取得することができるようになります。
ちなみに、ここではあまり深くは触れませんが、BとCの対立が深刻な場合で、CがBをその居住不動産から追い出そうとする場合を民法は想定していて、Bには配偶者短期居住権というものが認められており、これは登記をしなくてもBはその居住不動産に最低限6か月は居住することができるようになっています。
なお、民法上、被相続人が配偶者以外の人と共有している不動産についてはそもそも配偶者居住権を設定することができないとされているため注意が必要です。上記の例でいうと、AとCが共有している不動産にBが居住していた場合、Aが死亡してもBは配偶者居住権を取得(設定)することができない、ということになります。


上記のとおり配偶者居住権を設定するにあたっては、前提としてBとCの関係性が必ずしも良好でないということが想定されており、相続人の間でスムーズな話し合いが出来ていることを前提としている司法書士の相続手続き業務には、実のところあまりなじむものではありません。また、相続税の評価においても配偶者居住権の価値を計算をする必要がるため、われわれ司法書士だけでその設定の要否を簡単に判断することが出来ません。
配偶者居住権の制度が始まった2020年4月から1年以上経過していますが、登記統計でみると、昨年の配偶者居住権の登記申請の総数が全国で130件程度、今年も毎月あたりの申請件数は全国でほぼ50件前後で推移しており、利用実績としては決して多いとは言えない制度ということになっています。
実際、当事務所でも配偶者居住権の登記手続きを取り扱った実績は今のところはありませんが、配偶者居住権の制度についてのご相談は何度か承っており、ご説明をさせていただいた結果、ご相談者の方の相続においてはその制度利用の必要性がない、と判断されているのが現状です。

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