くらしの法律情報
2026年02月02日 [くらしの法律情報]
パソコンで作った遺言はダメなのでしょうか?

司法書士の清水です。
遺言のお話をしていると、最近よくいただくのが、「パソコンで作った遺言って、有効なんですか?」というご質問です。
書類の多くをパソコンで作る時代ですから、そう考えるのも自然なことだと思います。
今回は、「パソコンで作った遺言は有効なのか?」そして「法務局の遺言保管制度を使えば安心なのか?」という点まで含めてお話しします。
原則として、本文をパソコンで作った遺言は無効です
これが基本となる考え方です。自筆証書遺言の本文は、原則として自分の手で書く必要があります。そのため、パソコンで作成し、印刷した文章をそのまま遺言の本文にすると、法律上は無効になってしまいます。
内容がどれだけ立派でも、「自筆で書かれていない」という点だけで、遺言として使えなくなるのです。
自分の手で書くことが難しい人はどうする?
なお、病気や障がいなどで「自分の手で書くことが難しい」という方もいらっしゃいます。そのような場合でも、遺言をあきらめる必要はありません。自筆ができない方でも作成できる
「公正証書遺言」という方法があります。この点については、改めて別の機会に詳しくご説明します。
法務局の遺言保管制度では、認められる部分があります
ここで知っておいていただきたいのが、法務局の自筆証書遺言保管制度です。この制度を利用する場合、財産目録については、パソコンで作成することが認められています。
たとえば、
•不動産の一覧
•預貯金や証券の一覧
こうした部分は、パソコンで作って印刷し、遺言に添付することができます。
ただし、
•遺言の本文は自筆で書くこと
•財産目録の各ページに署名と押印をすること
といった決まりがあります。
法務局の遺言保管制度の利用上の注意点
注意したいのは「内容の相談はできない」点です。法務局の遺言保管制度では、遺言の内容について相談したり、アドバイスを受けることはできません。法務局が確認するのは、
•形式が整っているか
•必要な署名や押印があるか
といった点だけです。
つまり、
•この書き方で大丈夫か
•この分け方で将来問題が起きないか
•手続きがスムーズに進む内容か
といった中身の部分までは見てもらえないのです。
「保管してもらえる=万全」ではありません
遺言保管制度は、
•紛失を防げる
•改ざんの心配が少ない
•家庭裁判所での検認が不要
といった、とても便利な制度です。
ただし、内容が不十分な遺言でも、そのまま保管されてしまう可能性もあります。
そのため、「法務局に預けたから安心」ではなく、「中身がきちんとした遺言かどうか」が何より大切になります。
あいおい事務所からのひとこと
パソコンで作った遺言は、原則として本文は認められません。また、法務局の遺言保管制度はとても便利ですが、遺言の内容について相談できる制度ではありません。
だからこそ、
•内容は専門家と一緒に整理する
•形式は法律に合った形で整える
•そのうえで保管制度を利用する
この流れが、安心につながります。












